睡蓮に寄せて

睡蓮に寄せて

(美しいとは 飾らないことなの・・・) いつも 遠くから見つめるだけだった あなたに見惚れた日から あなたが去ったその日まで 結局 一言も話せなかった・・・一言さえ。 あなたは突然 湖の国から来て 瞬く間に 知り得もしない私の心を まごつかせていた あなたが目尻の奥の方 視界の隅に映るだけで 心の真ん中には 美しいあなたが映っていた あなたが友だちと自然と笑顔で語る様子が眩しくて 私もそれだけで何故か良かったと不思議と思えた ・・・確かに あなたの言語さえが分からない事が 臆病な私に 諦めという正当な言い訳をくれた 当然 あなたは私の存在にさえ気づかず去っていった その時にも 諦めという慰めで…